魂を揺さぶる「ハカ」
- 皆川 義廣
- 2021年12月24日
- 読了時間: 2分

カ マテ カ マテ(私は死ぬ 私は死ぬ)
カ オラ カ オラ(私は生きる 私は生きる)
カ マテ カ マテ(私は死ぬ 私は死ぬ)
カ オラ カ オラ(私は生きる 私は生きる)
テネイ テ タナタ プッフル=フル(見よ、この勇気ある者を)
ナア ネ イ ティキ マイ(ここにいる毛深い男が)
ファカ=フィティ テ ラ(再び太陽を輝かせる)
ア ウパネ ア フパネ(一歩上へ さらに一歩上へ)
ア ウパネ カ=ウパネ(一歩上へ そして最後の一歩)
フィティ テ ラ(太陽の光の中へ)
時は、1810年。
マオリ族のとある部族の長だった男が敵に追われ、地下に隠れていた所、追手は立ち去り、
何とか難を逃れた。
命からがら外に出ると、立ち去ったはずの相手が目の前に。
覚悟を決め、天を仰いだ男だったが、なんとその相手は敵ではなく、友好的な部族の者だった。
彼に救い出され命拾いした男は、感謝と喜びの想いを踊りにしたのだった…
『カマテ』は、闇に堕ちた男が光を見た瞬間に
沸き起こった情熱を踊りにしたもの。
その歌詞に触れるだけで、日本の文化や心が根付く私達たちであっても
ほとばしる何かを感じます。
死の縁にいた男が、光の中へ飛び出した歓びを歌い踊った魂=スピリットが
数百年経つ今も、変わらず受け継がれています。
写真の動画は、
ニュージーランドのパーマストン・ノース男子高校で、30年間教鞭をとっていたドーソン・タマティ先生が、
55才という若さでこの世を去った時、学校に運ばれてきた先生の遺体に総勢1,700名以上の生徒、OB が
一同に、魂を込めて別れのダンス「ハカ」を踊った映像です。
人は、日常に命をすり減らし過ぎると
その尊さや、生きる歓びを見失ってしまいがちです。
しかしこのハカには、魂が記憶している命の衝動や情熱が刻まれ
生命力を漲らせるための"根源的な何か"を、呼び起こしてくれるように感じます。